納車4か月のジムニーが250万円で売れた|ジムニーのリセールはなぜ高いのか、半導体不足バブルの記録

2021年、私は1年のうちに3回、納車を経験しました。妻からは「病気」と言われました。返す言葉はありません。

すべての引き金になったのが、納車から4か月しか経っていないジムニーに、250万円という値が付いたことでした。

目次

グリルのほうが先に届いた夏

2021年の夏、私は1台のジムニーを待っていました。JB64のXC、5速マニュアル。色はジャングルグリーン。

納車の1週間前、社外グリルのほうが先に家に届きました。車はまだ来ていないのに、部品だけが床に転がっている。

梱包を解いたジムニーJB64用の社外グリル
納車1週間前。車より先にグリルが届きました。待ちきれない気持ちが、我ながらよく出ています。

8月21日、ジムニーがやってきました。久々のマニュアル車です。当時の私はこう書いています。

ジム兄納車されました。久々のミッション、走ってる感あっていい。納車記念にクマのぬいぐるみをいただきました。

納車日、ジムニーのボンネットに座らせたクマのぬいぐるみ
納車記念にいただいたクマ。とりあえずボンネットに座らせて撮る、この浮かれ具合。

雨上がりのボンネットにクマを座らせて写真を撮っている時点で、相当浮かれています。この日から4か月しか乗らないとは、当然ながら思っていません。

ジャングルグリーンのスズキ・ジムニーJB64を後ろから見たところ
ジャングルグリーンのJB64。この色に惚れて買いました。

月1,000kmペースで乗った4か月

そこからは、よく乗り、よく触りました。

納車の8日後には、真夏のガレージでバックカメラを取り付けています。内張りを外して、配線を通して、また戻す。暑いに決まっているのですが、新しい車が来た直後というのは、そういうことがまったく苦にならないものです。

ジムニーのバックドア内張りを外してバックカメラを取り付けている様子
納車8日目、真夏のガレージ。バックドアの内張りを剥がしてバックカメラの配線を通しているところ。

9月には、ホイールをアピオのWILDBOAR SR(コットンホワイト)に履き替えました。白いホイールに、ホワイトレターのタイヤ。ジムニーは足元を変えるだけで顔つきがまるで変わります。そのまま大和川の河川敷まで走って、信貴山を背景に1枚。この写真は今でも気に入っています。

大和川河川敷に停めたジャングルグリーンのジムニーと、遠景の信貴山
大和川の河川敷から信貴山を望む。ジムニーはこういう場所がよく似合います。

9月22日に走行1,000km、10月28日に2,000km。ちょうど月1,000kmのペースです。2,000kmを迎えたときの平均燃費は13.1km/Lでした。街乗り中心の軽4WD・マニュアルとしては、こんなものだと思います。

ジムニーのメーター表示。平均燃費13.1km/L、走行2,000km
2,000km到達。平均燃費13.1km/L。納車から約2か月、月1,000kmのペースでした。

走っては触り、触っては眺める。私にとっていちばん楽しい時期でした。

ただ、遠出はきつかった

その一方で、ひとつだけ引っかかっていたことがあります。

11月23日、天気のいい日に妻と加太までドライブに出かけました。目的は友ヶ島。ところが港に着くと、強風で船が欠航しているという。海の向こうに島だけが見えて、渡れない。

加太の海越しに見える友ヶ島。空は快晴だが波が高い
これだけ晴れているのに、強風で欠航。海の向こうに友ヶ島だけが見えていました。

そして帰り道、私はこう書いています。

往復200km弱のドライブでしたが、軽自動車だからか、サスのせいなのか、はたまた歳のせいなのか、めっちゃ疲れました(笑)これで遠出はきついかも。

ジムニーという車を分かって買ったつもりでした。実際、街乗りやちょっとした山道では最高に楽しい。ただ、往復200kmとなると話が変わってくる。悪い車だという意味ではなく、そういう性格の車だということです。

この「遠出はきついかも」という一行が、後から効いてきます。

250万円という値が付いた

2021年は、半導体不足で新車の納期が読めなくなっていた年でした。人気車種は「今すぐ乗れる」というだけで価値が上がり、中古車市場にプレミアが付いていた時期です。

ジムニーは、その筆頭のような車でした。もともと納期の長い車です。そこに納期遅延が重なって、程度のいい個体には信じられない値が付いていました。

私のジムニーに付いた値段は、250万円でした。

納車から4か月。走行2,000km台。買った値段より高い。

「車は乗った瞬間から値が下がるもの」という、私が何十年も当たり前だと思ってきた前提が、このときだけひっくり返っていたのです。

ちょうど「遠出はきついかも」と感じていたところでした。背中を押す理由としては、十分すぎました。

そこから、箍が外れました

ここからの2か月が、我ながらひどい。

12月11日、ヤリスクロス納車

ジムニーを手放し、代わりに来たのが紺色のヤリスクロスでした。認定中古車で、走行1,678km。納車日にディーラーから自宅まで下道を30分走って、燃費計は28.7km/Lを表示していました。「すごいな最近の車は」と、私はまた浮かれています。

12月19日、そのヤリスクロスを手放す

8日後の投稿がこれです。

まさか納車3日で手放すことになろうとは。。。コーティング代5万円が惜しまれる(笑)

この車もまた、買値より高く売れました。ただ、理由はそれだけではありません。シートの形やシートヒーターなど、3日で決断するに至った事情は「納車3日で手放したヤリスクロス」に書きました。

12月26日、フィット クロスター納車

年の瀬に、3台目が来ます。このときの投稿がすべてを物語っています。

まいにゅー。まさかの今年3回目の納車(汗)しばらくはこれでいきます。

「しばらくはこれでいきます」と自分に言い聞かせているあたりに、当時の心境がにじんでいます。

ちなみにこの年は、8月に1台目のアウトランダーPHEVも車検前に手放しています。妻の軽自動車も夏に入れ替えました。家の車が、1年でまるごと入れ替わったことになります。

妻の「病気」という一言は、この流れを一部始終見た上での感想です。まったくもって、その通りでした。よく許してくれたものだと思います。

そして4年後、同じ車をもう一度買いました

話には続きがあります。

2025年2月。私はもう一度、JB64ジムニーを買いました。

赤いスズキ・ジムニーJB64。洗車直後で塗装が濡れて光っている
2台目のJB64。今度は赤、そしてAT。「この軽とは思えない無骨感が好きです」

今度こそ、終の車。人生トータル20台目、2回目のJB64ジムニーオーナーとなりました。いじるとこいっぱいあるので精一杯楽しみます。今回は、悩みましたがATにしました。

1台目は1型のMT、2台目は3年落ち4万km走行の2型最終型でAT。同じJB64でも「進化している」というのが、乗り比べた実感でした。

結局またタイヤから手を付けた

そして今回もまた、性懲りもなくヤフオクでホイールとタイヤを落札しています。近県の出品者だったので引き取りに行きました。自宅から亀山まで往復です。

選んだのはトーヨータイヤのオープンカントリーR/T。ホワイトレターです。当時の私はこう書いています。

燃費も乗り心地も悪くなることはわかっちゃいるけど、ホワイトレターの誘惑には勝てず。

赤いジムニーJB64に装着したトーヨータイヤ・オープンカントリーR/Tのホワイトレタータイヤ
オープンカントリーR/Tのホワイトレター。「やっぱ、ジムニーにはごついタイヤが似合います」

分かっていても履きたくなる。ジムニー乗りなら、この気持ちは分かっていただけると思います。実際、足元が変わるだけで顔つきがまるで違ってきます。

ちなみに私が履いたのはR/T(ラギッドテレーン)ですが、同じオープンカントリーにはA/T(オールテレーン)もあります。見た目の迫力はR/T、静かさと燃費ならA/Tという住み分けです。ホワイトレターはどちらにもあります。

ちなみに1台目のジャングルグリーンにも、白いホイールにトーヨーのホワイトレターを合わせていました。結局同じところに戻ってくるわけです。

結局、私はこの車が好きだったのです。250万円という数字がなければ、あのまま乗り続けていたかもしれません。

あの熱は、何だったのか

今になって振り返ると、2021年のあれは一時の熱でした。

車が値下がりしない。むしろ上がる。その状況が続くと、「乗り続けること」より「乗り換えること」が得に見えてきます。実際、あの時期に何度か乗り換えた人は、金額の上では損をしていないはずです。

ただ、失ったものもあります。私は、いちばん楽しい時期のジムニーを4か月で手放しました。グリルを先に買い、真夏にバックカメラを付けて、河川敷で写真を撮って、これから育てていくところだった車です。あの緑のジムニーとの時間は、250万円と引き換えに終わってしまった。

4年後にもう一度同じ車を買ったのは、たぶんその埋め合わせだったのだと思います。

もし今、あなたの車に思いがけない高値が付いたとしたら。その金額は本物です。でも、その車と過ごすはずだった時間には、値段が付いていません。両方を天秤にかけてから決めても、遅くはないはずです。

――と、25台乗り継いで、3回納車された年を持つ人間が言っても、説得力はないかもしれませんが。

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