N-WGNターボは隠れた名車だと思う|N-BOXとの違いと、道後温泉から足摺岬まで疲れ知らずだった話

25台乗り継いできましたが、「これは隠れた名車だ」と思っている軽自動車があります。

ホンダのN-WGN。しかもターボ。

厳密には妻の車で、私の愛車遍歴に数えるべきかどうか微妙なところです。ただ、近所を徘徊するときに私がしょっちゅう乗っていましたし、四国まで一緒に走ったこともあります。乗った時間で言えば、堂々と語る資格はあると思っています。

目次

そもそも、なぜN-BOXにしなかったのか

2021年の夏、妻の車を買い替えることになり、ホンダのディーラーへ行きました。

ホンダディーラーの展示場に並ぶ水色のN-WGNと、奥の黒いN-BOX
契約した日の展示場。手前が水色のN-WGN、奥に黒いN-BOXが2台。この構図がすべてを物語っています。

軽トールワゴンといえばN-BOXです。売れている台数で言えば圧倒的で、ディーラーの展示場でも一等地に並んでいます。当然、候補には挙がりました。

ですが、今回もN-BOXにはなりませんでした。妻の理由は明快で、

いかつくて嫌い

これで終わりです。売れ筋だろうが何だろうが、毎日乗る人が「顔が嫌」と言えば、そこで話は終わる。

そして結果的に、この選択が正解でした。乗ってみて初めて分かったことがいくつもあったからです。

まず、ターボが無茶苦茶走る

この記事はターボ前提で書きます。N-WGNの良さの半分はここにあると思っているからです。

軽自動車あるあるだと思うのですが、ゆっくりめに走っていると、後ろから普通車にあおられることがあります。軽だから遅いだろう、という決めつけです。

そんなとき、ちょっと踏み込んでやると、すぐに後ろを置いてきてしまう。

意地悪をしたいわけではありません。ただ、「その気になればいつでも出られる」という余裕があるかないかで、運転中の心の平穏がまるで違います。軽自動車で一番ストレスになるのは、後ろが詰まってきたときに逃げ場がないことですから。

N-BOXより「背が低い」ことの価値

これが、乗ってみて一番よく分かった美点でした。

N-WGNは、N-BOXほど背が高くありません。カタログの数字で見ると、同じL・ターボ同士の比較で全高がN-BOXより115mm低く、車重も約50kg軽いとされています。

この差が、高速道路ではっきり出ます。

横風にあおられることが少ない。橋の上やトンネルの出口で、ハンドルを握り直すあの感じが軽い。カーブでの横揺れに対する不安も小さい。背の高い軽で高速を走ったことがある方なら、この違いは想像がつくと思います。

広さを取るか、安定を取るか。N-BOXの室内の広さは確かに魅力ですが、その代償として背の高さがある。N-WGNは、そのちょうどいいところに立っています。

ジムニーと比べると、別世界だった

ちょうどこの頃、私の車はジムニー(JB64)でした。

ジムニーは大好きな車ですが、正直なところ、長距離は得意ではありません。往復200km走っただけで「めっちゃ疲れました。これで遠出はきついかも」と書き残しているくらいです。

その点、N-WGNは100km/h巡行が余裕でした。同じ軽自動車なのに、高速に乗ったときの安心感がまるで違う。これは驚きでした。

ホンダセンシングのLKASが、遠出を変えた

もうひとつ、高速で効いたのが運転支援です。

N-WGNには、車線の中央を走るよう支援してくれるLKAS(車線維持支援システム)を含むホンダセンシングが、NA・ターボを問わず標準装備されています。軽自動車で、これが全グレードに付いてくるというのは、当時としてもなかなかの装備でした。

高速の長い直線で、これがあるかないかで疲れ方がまったく違います。ハンドルを支えていてくれる感覚があるだけで、肩の力が抜ける。

もちろん自動運転ではありませんから、手を離していいわけではありません。あくまで補助です。それでも、補助があるのとないのとでは、200kmを超えたあたりからの差がはっきり出ます。

道後温泉から足摺岬まで、疲れ知らずだった

この車の実力を思い知ったのが、四国への旅行でした。

2021年12月、妻と二人で四国を回りました。当時の私の車はジムニーでしたが、この旅にはN-WGNを選びました。そして結果的に、これが大正解でした。

初日は丸亀城から。現存12天守のひとつです。そのままうどん県らしく龍神うどんで昼をとり、午後は松山城を見て、その日は道後温泉に泊まりました。夜は道後ビールのアルト。
翌日は一気に南下して、四万十へ。

そして足摺岬。これが、遠かった。

目の前に見えているのです。岬の形も、その先の海も。なのに、行けども行けどもつかない。リアス式の海岸線を、入り江のたびに大きく回り込みながら進むので、直線距離と実際に走る距離がまるで違う。

そのうち日が傾いてきて、夕日が沈んでしまうかと冷や冷やしながらハンドルを握っていました。あの焦りは、今でもよく覚えています。

結果は、間に合いました。

四国の岬から見た、海に沈む夕日
2日目の夕方、太平洋に沈む夕日。奈良から軽自動車で、ここまで来ました。
四国南西部の断崖と海
断崖と太平洋。四国の南の端は、こういう景色が続きます。

その晩泊まった宿が、また良かった。

藁焼きを、目の前で焼いてくれるのです。藁がぼうっと燃え上がって、その火であぶる。あの匂いと音は、写真では伝わりません。焼きたてを地ビールで流し込む。四万十のぶしゅかんエールでした。

四万十ぶしゅかんエールの瓶とグラス。宿の食卓にて
四万十ぶしゅかんエール。藁焼きの後の一杯は、格別でした。

最高でした。走ってきた甲斐がある、というのはこういうことを言うのだと思います。

そして、ここが大事なところなのですが。奈良から四国に渡り、丸亀から松山、道後で一泊して、翌日は南西の端の足摺岬まで走り切って、それでも私は

全くの疲れ知らずだったのです。

軽自動車で四国を縦断する、と言うと驚かれることがあります。ですが、ターボの余裕と、背の低さからくる安定と、LKASが揃うと、こういう旅がふつうにできてしまう。

後部座席も広いので、荷物にも人にも困りません。

燃費も、きちんと走る

燃費についても書いておきます。同じような使い方をした実測なので、参考になると思います。

近所のちょい乗り中心遠出したとき
N-WGN15〜16km/L20km/L くらい
N-ONE10km/L台20km/L くらい
同じ家、同じような使い方での実測値。近所のちょい乗りが中心です。

ちょい乗り中心でこの数字が出るのは立派だと思います。遠出すれば20km/Lくらいまで伸びます。

走って、安定して、支援も付いて、燃費も良くて、しかもN-BOXより安い。「コスパ最強」という言葉が自然に出てきます。実際、納車されたときの私はSNSにそう書いていました。

納車日、ホンダディーラーの駐車場に停まる水色のN-WGNと隣のオレンジのN-ONE
納車の日。「N-wgn、ほんとによくできてる車です。コスパ最強だと思います」と書き残していました。

惜しむらくは、デザインでしょうか

ここまで褒めてきましたが、弱点もはっきりしています。

デザインです。

見ようによっては、これぞホンダらしい実直なデザインとも言えます。奇をてらわず、まっすぐで、道具として正しい顔をしている。私はけっこう好きです。

ただ、妻の評価は違いました。

乗ってる人、おじいさんばっかり

身も蓋もない。しかし、街で見かけるN-WGNを思い浮かべると、否定もしきれないのが辛いところです。

ちなみに言った本人も、もう十分におばあさんなんですけどね。それは言わないでおきました。

選ばれないから、中古が安い

デザインで敬遠される。売れ筋はN-BOX。その結果どうなるかというと、中古市場でN-WGNは安いのです。

実は私、一時期この車を「自分の車」として本気で検討したことがあります。狙っていたのはカスタムの中古でした。

理由は単純で、良さを十分に知っているからです。妻の車として何度も乗り、四国まで走って、ターボの余裕も高速の安定もLKASの効きも燃費も、全部この身で分かっている。その車が、顔の好みという理由だけで安く買える。これほど分かりやすい買い物もありません。

結局そのときは別の車になりましたが、今でも中古車サイトで見かけると目が止まります。

「隠れた名車」というのは、つまりそういうことです。良いのに評価されていない。評価されていないから安い。中身で選ぶ人にとっては、これ以上ない条件が揃っているということになります。

そして今、我が家は2回目のN-ONEです

結局のところ、妻が選んだのはN-ONEでした。それも2回目です。

あの愛らしいルックスが、どうしても気に入っているのだそうです。

燃費で言えば、同じような使い方でN-ONEは10km/L台。N-WGNの15〜16km/Lには届きません。走りの余裕も、高速での安定も、私の評価ではN-WGNに軍配が上がります。

それでもN-ONEを選ぶ。毎日乗るのは本人ですから、それでいいのだと思います。車選びで数字がすべてなら、世の中はもっと退屈になっているはずです。

まとめ:N-WGNターボは、もっと評価されていい

あらためて並べてみます。

  • ターボは本当によく走る。あおられても、踏めば置いてこられる余裕がある
  • N-BOXより全高が115mm低く、約50kg軽い。高速の横風・横揺れに強い
  • 100km/h巡行が余裕。ジムニーとは別世界だった
  • LKASを含むホンダセンシングが全グレード標準
  • 後部座席も広い
  • ちょい乗り中心で15〜16km/L、遠出なら20km/L
  • そしてN-BOXより安い

軽自動車で高速をよく走る人、遠出をする人、後ろから詰められるのが苦手な人。そういう方には、N-BOXより先にN-WGNのターボを見てほしいと思います。

道後温泉から足摺岬まで走って疲れ知らずだった軽自動車が、「乗ってる人おじいさんばっかり」という一言で選ばれない。もったいない話です。

もっとも、選ばれないおかげで中古が安いわけですから、中身で選ぶ人にとってはむしろ好都合なのかもしれません。私が狙っていたのも、まさにそこでした。

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