2022年の年末、シートの張り替えをするために座席を外しました。買ったばかりのユーノス ロードスター(NA6CE)です。
そこで見たものが、この記事の全部です。
床が、一面、錆でした。

先に結論を書きます。私はこれを直せませんでした。金たわしと金ブラシでこすっても取れず、錆落としの大変さに躊躇しているうちに、この車を手放しました。
「錆転換剤を使えばいい」という記事はたくさんあります。効果を解説した記事も、おすすめランキングも読みました。それでも手が動きませんでした。なぜ動かなかったのかを書きます。
買う前には見えない、車のフロアの錆
まず、いちばん伝えたいことです。
この錆は、買うときには絶対に見えません。
上には座席が付いています。座席の下には防音材(フェルト状のもの)が敷いてあります。錆はさらにその下です。
- 試乗しても見えません。座って走るだけです
- 内装をひと通り見ても見えません。マットをめくっても、その下に防音材があります
- 座席を外して、防音材をめくって、はじめて見えます
私がこれを見たのは、シートの革を張り替えるために座席を外したからです。張り替えをしなければ、そのまま乗り続けていました。
見つけたのは、シートを張り替えようとしたから
そもそも、なぜ座席を外したのか。シートの革を張り替えるためでした。
買った時点で、シートの革はボロボロでした。アメリカから張り替えキットを取り寄せて、YouTubeを見ながら自分でやるつもりでした。ついでにシートヒーターも埋め込む計画です。
年末の休みに、まず座席を車から降ろしました。そこで床が見えました。
張り替えそのものは、うまくいきました。運転席側で半日、要領がつかめた助手席側は4時間ほど。ウレタンフォームは思ったよりへたっておらず、フェイクレザーですが見違えるようになりました。
🔴 つまり、この錆は「探して見つけた」ものではありません。別の作業をしていて、たまたま目に入ったものです。座席を外す用事がなければ、私は最後まで知らずに乗っていました。
旧車の状態を知りたいなら、「調べる」より「何か別の作業でバラす」ほうが、よほど多くのことが分かります。これはこの1年で何度も感じたことでした。
🔴 防音材が水を吸って、その下で鉄板が腐っていた

寄って見ると、状態がよく分かります。
表面にうっすら赤錆が乗っている、という状態ではありません。鉄板が層になって浮き上がり、めくれています。触るとボロボロと落ちます。
そして、錆びている場所を見てください。防音材が敷いてあった範囲と、ぴったり一致しています。
理屈は単純でした。
- オープンカーなので、幌から、あるいは乗り降りで、水が入る機会がある
- 入った水は、防音材が吸う
- 防音材は乾かない。座席の下で、鉄板に密着したまま濡れている
- その状態が30年続く
🔴 防音材は、音を止めるためのものですが、同時に水を溜める場所にもなります。「濡らさなければ大丈夫」ではなく、「一度濡れたら乾かない」のが厄介なところでした。
車の錆の落とし方を一通り試した。金たわしも金ブラシも歯が立たない

とりあえず落とそうとしました。使ったのは金たわしと金ブラシです。
全然取れませんでした。
表面の粉っぽいところは落ちます。ただ、その下がまた錆です。こすってもこすっても、下から錆が出てくる。深さがどこまでか分かりません。
ここで、作業の全体像が見えてしまいました。
- 手でこすって取れる量ではない。電動工具が要る
- 電動でやるなら、車内は狭くて姿勢が取れない。粉も飛ぶ
- 落としきったあと、塗装まで一気にやらないと、かえって錆びる
- そこまでやるなら、内装をもっと大きく外すことになる
当時、投稿にこう書いています。
床の錆対策はまた後日。
2023年2月11日です。この「後日」は、来ませんでした。
🔴 錆転換剤とは何か|車の錆に使う錆転換剤のスプレーを調べた
調べていくと、「錆を落とさなくていい」という薬剤があることを知りました。錆転換剤です。
赤錆に塗ると、化学反応で安定した黒錆に変えて、その上から塗装できる、というものです。私のように「落としきれない」人にとっては、まさに救いに見えました。
正直に書きます。私は、それを買ったのか、買おうと思って終わったのか、もう思い出せません。手元に残っていないので、たぶん買っていないか、買って使わないままだったのだと思います。
この曖昧さこそが、答えなのだと思っています。
🔴 「これを買えば解決する」と思った時点で、作業は止まりました。薬剤を調べている時間は、手を動かしていない時間です。そして調べれば調べるほど、「ちゃんとやるなら下地処理が要る」という話に行き当たります。
錆転換剤のデメリット|車に使う前に知っておきたい「万能ではない」こと
「錆転換剤 デメリット」で調べる人が多いのは、たぶん私と同じ状況の人だと思います。落としきれない錆を前にして、これで済ませていいのか迷っている。
私が調べた範囲で、ここが引っかかりましたという点を書きます。
- 浮いている錆・ボロボロ落ちる錆は、先に落とす必要がある。「落とさなくていい」は「表面の赤錆なら」という意味であって、層になってめくれている錆はその前提から外れます
- 厚い錆の内側までは届かない。表面だけ黒く固めても、下で進行が続く可能性がある
- 上に塗る塗料との相性がある。製品ごとに指定があり、確認が要る
私の床は、まさに「浮いてめくれている」ほうでした。だから「これを塗れば終わり」にはならない。結局、下地処理から逃げられない。
そう分かった時点で、手が止まりました。
直さないまま、この車を手放しました
2023年11月、この車を手放しています。
手放した理由は錆ではありません。別の車に乗り換えたかったからです。ただ、結果として、床の錆は最後まで手つかずのままでした。
この1年で、私はこの車にかなり手を入れています。エアフロメーター、シフトのオーバーホール、内張り、幌、足回り一式、クラッチ、エアコンのR134a化。それでも床の錆だけは、最後まで残りました。
理由ははっきりしています。他の作業は「部品を替えれば終わる」のに対して、錆は「どこまでやれば終わりか分からない」からです。終わりが見えない作業は、後回しになります。
これから旧車を買う方へ。旧車の錆について4つ
- 🔴 買う前に、座席の下は見えません。見たいなら、座席を外してもらうしかありません。それが無理なら「見えていない」と分かったうえで買ってください
- 錆びる場所は、防音材が敷いてあるところです。濡れるからではなく、濡れたあと乾かないから錆びます。オープンカーは特に
- 🔴 「錆転換剤があるから大丈夫」とは思わないでください。浮いてめくれている錆には、結局、下地処理が要ります
- 錆は、他の修理と性質が違います。部品交換は終わりが見えますが、錆は終わりが見えません。だから後回しになり、そのまま次のオーナーへ行きます
最後に、正直なところを。
私はこの錆を直せませんでした。「効果絶大」「これ1本でOK」という記事の隣に、こういう記録も1つくらいあっていいと思って書いています。買った人が全員直せるわけではありません。
※ この記事は2022年12月〜2023年11月の記録です。錆の程度・車種・保管環境によって適切な処置は変わります。実際の施工は各製品の指示に従ってください。
