ユーノス ロードスター Vスペシャル(NA6CE)に、ケンウッドの彩速ナビ「MDV-Z909HDL」を自分で取り付けました。9インチの大画面モデルです。
30年前の車に、今どきの9インチナビ。当然ながら、そのままでは付きません。結果として、詰まったのは3か所でした。
- 物理的に入らない。パネルをやすりで削って現物合わせ
- 車速パルスが取れない。この年式の車には、そもそも信号が来ていない
- 付けた位置が低すぎる。運転中に見ると視線が下がって危ない
順に書いていきます。
社外ナビの取り付けで、なぜケンウッドの彩速ナビを選んだか
元々は、カロッツェリアのデッキが付いていました。地図は使えないので、ナビを入れたい。
ここで「スマホの地図アプリでいいのでは」という話になります。実際、それでも走れます。ただ、私はどうも地図アプリが好きになれませんでした。そこは好みの問題です。
それより大きかったのは、この1台に、地図以外の役目もまとめて持たせたかったことです。条件はこの4つでした。
- ワイヤレスミラーリングが使えること
- HDMIの入力と出力があること
- DSDやMQAといったハイレゾ音源が再生できること
- そのうえでナビであること
探した結果、この4つを満たすのはケンウッドの彩速ナビ、この機種しかありませんでした。特にHDMI「出力」があるものは多くありません。この出力が、あとで効いてきます。

SDカードに入れたFLAC 96kHz/24bitを再生しているところ。DSDも2.8MHzで鳴ります。30年前のオープンカーで聴くものかと言われれば、そのとおりです。ただ、屋根を開けて走る車ほど、音の粗は逆に気になりません。気分の問題です。
9インチナビの取り付けで最初に詰まる。黒いパネルをやすりで削って現物合わせ
最初の壁がこれでした。
NAロードスターのオーディオスペースは1DIN+1DIN。今どきの9インチナビが素直に付く場所ではありません。寸法を測ると、大きさ的にはギリギリ入る。けれど「入る」と「付く」は別の話でした。
しばし途方に暮れたあと、こうしました。
- 簡単な治具(固定用のステー)を自分で作って、ナビ本体を無理やり固定する
- そのままでは付かなくなるコンソールの黒いパネルを、削って合わせる
🔴 この2番目が、この作業でいちばん時間を食いました。
やり方は単純です。やすりで、少しずつ削る。当てる、削る、また当てる。図面を引いて一発で切るのではなく、現物合わせで削っては合わせるを繰り返します。
削りすぎたら戻せません。だから一度に削る量は、いつも「まだ足りないかな」というくらいにしておく。この判断を何十回も繰り返すことになります。

削り終わった状態です。ナビの周囲に黒いパネルが回り込んでいるのが分かると思います。写真では一瞬で終わったように見えますが、ここに至るまでが長かった。
この手の加工は、上手い下手より「あと1mm削るかどうか」を何度も我慢できるかだと思いました。
🔴 「車速パルスが検出できません」と出た|車速パルスとは何か
付いた。電源も入った。地図も出た。そこで出たのがこれです。

画面いっぱいに、こう出ます。
車速パルスが検出できません。
車速検出コード(桃)の接続先及び接続状態を確認してください。
車速パルスというのは、車が走った距離をナビに教える信号です。GPSだけだと、トンネルに入った瞬間に自車位置が分からなくなります。そこを補うために、タイヤの回転から作った信号をナビへ渡す。それが車速パルスです。
🔴 ところがこの年式の車には、渡せる信号がそもそも来ていませんでした。接続ミスではありません。配線をどうこうする以前の問題です。
ナビ側は「線が外れているのだろう」と親切に教えてくれます。けれど、探しても無いものは無い。このエラーを消す方法を調べていて、旧車に今のナビを付けるというのは、そういうことなのだと分かりました。
結論として、私はこれを受け入れて使いました。GPSだけでも、地図は動きます。街中で困ることはほとんどありません。困るのは長いトンネルの中と、高架と側道が並んでいる場所くらいです。
どうしても必要なら、車速パルス発生器という後付けの部品もあります。GPSやセンサーから疑似的な信号を作って、ナビに入れてやるものです。
ただ、そこまでするかどうかは、その車をどう使うか次第だと思います。私は、しませんでした。取り付けの手間と、得られるものを比べて、割に合わないと感じたからです。
🔴 旧車にナビを付けるとき、この「車速パルスが検出できません」は、かなりの確率で出ます。そして多くの場合、配線の問題ではありません。探しても無いものは無い、という結論に落ち着きます。そこで慌てて配線をやり直さないほうが、時間を無駄にせずに済みます。
視線が下がって危ない。ダッシュにモニターを足した
付けてから分かった、3つめの問題です。

見てのとおり、ナビはエアコン操作パネルの「下」に付きます。シフトレバーのすぐ前あたりです。今の車のように、視線の高さにモニターが来る設計ではありません。
🔴 走りながらこの位置を見ると、視線がはっきり下がります。危ない。画面が9インチと大きいだけに、つい見てしまうのも良くありませんでした。
そこで、ダッシュボードの上にもう1枚モニターを増設しました。

ここで、機種選びのときの「HDMI出力」が効いてきます。ナビの画面をそのままHDMIで出して、ダッシュ上のモニターに映すだけ。特別な機器はいりません。

2画面に同じ地図が出ています。時刻まで同じです。走行中はダッシュの上を見て、操作するときだけ下のナビに手を伸ばす。これで視線の問題は解決しました。
電源は割り切って、シガーソケットから取りました。

電圧計が付いたものにしたので、ついでに発電の状態も分かります。14.2Vなら正常。旧車では、これが見えているだけで少し安心できます。
後退時はバックカメラに切り替わる

増設したモニターは、後退時にバックカメラの映像へ切り替わるようにしました。ガイドラインも出ます。
NAロードスターは、慣れれば四隅が分かる車です。それでも、今どきの車に慣れた体は、バックカメラが無いと落ち着きません。後ろが見えないと運転できない体になっている、と言ったほうが正確かもしれません。

カメラの配線です。この手の後付けで面倒なのは、機器の取り付けではなく線の通し方です。外から車内へ、どこを通すか。トランクの隙間から入れて、内張りの裏を這わせて前へ持ってくる。時間の大半はここに消えます。
カーナビの取り付けを自分でやる|旧車のナビ取り付けで詰まるのはここ
ひととおりやってみて、旧車で引っかかるのは「配線をどう繋ぐか」ではなかったというのが実感です。繋ぐこと自体は、変換ハーネスがあれば難しくありません。
詰まったのは、この3つです。
- 形が合わない。寸法上は入っても、周りのパネルが付かない。削るしかない
- 信号が来ていない。車速パルスのように、今の機器が前提にしている信号が、そもそも存在しない
- 取り付け位置が今の設計と違う。ナビの位置が低く、見ようとすると視線が落ちる
🔴 どれも「調べれば分かる」類ではなく、付けてみて初めて出てくるものでした。特に3番目は、取り付けが終わって走り出すまで気づけません。
だから、旧車にナビを付けるなら、一発で完成させようとしないほうがいいと思います。私の場合も、ナビを付けて、走って、危ないと気づいて、モニターを足して、ようやく落ち着きました。
NAロードスターにナビを付けて、音は格段に良くなった
最後に、いちばん満足している点を。
音が格段に良くなりました。元のデッキとは比べものになりません。ハイレゾ音源が鳴らせることもですが、単純に、音を作る部分の性能が違います。
屋根を開けて走れば、風の音で細かいところは飛びます。それでも、信号待ちで屋根を閉めているときや、夜に一人で走っているときには、はっきり分かります。
車速パルスは最後まで来ませんでした。パネルは削りました。モニターは1枚増えました。それでも、この1台を入れたことで、車の中の時間はずいぶん良くなりました。
旧車に今の機械を載せるというのは、たぶんこういうことなのだと思います。素直には付かない。けれど、付けば、ちゃんと良くなる。
