納車3日で手放したヤリスクロス|Xグレードで後悔した3点と、それでも良い車だった理由

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納車3日で手放した車があります

これまで25台の車を乗り継いできました。長く付き合った車もあれば、短い縁で終わった車もあります。その中でいちばん短かったのが、この記事で書くトヨタ・ヤリスクロスです。

納車から3日。あっという間でした。

誤解のないように先に書いておくと、この車が悪かったわけではありません。むしろよくできた車でした。実際、今回の買い替え検討でも候補に挙がったくらいです。それでも私は3日で手放しました。今日はその顛末を、当時の記録を引っ張り出しながら書いてみます。

2021年12月、紺色のヤリスクロスがやってきた

納車は2021年12月11日。生駒にあるトヨタディーラー系の認定中古車でした。色は紺の一色。ヤリスクロスというと白やシルバー、あるいは流行りのツートンをよく見かけますが、この落ち着いた紺はあまり見かけません。そこが気に入っていました。

中古車店の展示台に載った紺色のヤリスクロス。ホイールキャップが最下位グレードの印
生駒の中古車店で展示されていたときの1枚。台に載せられて、いかにも「これから誰かのものになる」顔をしています。

認定中古車といっても走行距離はごくわずかで、メーターは1,678km。実質、新車のようなものです。半導体不足で新車の納期が読めなくなっていた時期でしたから、「すぐ乗れてほぼ新車」というのは、それだけで十分な価値がありました。

そして納車のその日、ディーラーから自宅まで下道を30分ほど走って、私はメーターを見て声が出ました。

ヤリスクロスハイブリッドの燃費計。リセット間平均28.7km/Lと表示されている
納車日、ディーラーから自宅まで下道30分。リセット間平均28.7km/L。オドメーターは1,678km。

28.7km/L。下道を普通に流しただけでこの数字です。当時の私はSNSに「すごいな最近の車は」と書き込んでいます。実際すごい。ハイブリッドの進化を素直に喜んでいました。

この時点では、当然ながら長く乗るつもりでした。

自宅ガレージ前に停まった紺色のヤリスクロス(正面)
自宅に連れて帰ってきた日。紺の一色は、光の当たり方でずいぶん表情が変わります。

なぜ3日で手放したのか

いちばんの理由は、買った値段より高く売れたから

身も蓋もない話ですが、これが一番の理由です。

2021年は、半導体不足で新車の納期が軒並み延びていた年でした。人気車種は「今すぐ乗れる」というだけで価値が跳ね上がり、中古車市場にプレミアが付いていました。ヤリスクロスもそのひとつです。買ったばかりの個体に、買値を上回る値が付きました。

普通に考えれば「乗ればいいじゃないか」という話です。ただ、この頃の私は、少し正気ではありませんでした。

きっかけは、ジムニーが250万円で売れたこと

そもそもこのヤリスクロスを買うときに手放したのが、1台目のジムニーでした。それが、なんと250万円で売れてしまったのです。

これが効きました。「車は乗ったら減るもの」という前提が、あの時期だけひっくり返っていたわけです。一度それを味わってしまうと、頭のどこかのネジが緩みます。このジムニーの顛末は「納車4か月のジムニーが250万円で売れた」に詳しく書きました。

結果、2021年は納車が3回ありました。年末にフィット クロスターが納車されたとき、私は自分で「まさかの今年3回目の納車」と書いています。我ながら他人事のような書きぶりです。

妻からは「病気」とまで言われました。返す言葉もありません。むしろ、よく許してくれたものだと思います。

それでも、気に入らないところはありました

「高く売れたから」だけでは、さすがに3日で決断はしません。正直に書くと、乗ってみて引っかかった点がいくつかありました。

私が買ったのは、当時大きく3つあったグレード(上から Z・G・X)のうち、一番下の X でした。ここが効いてきます。

紺色のトヨタ・ヤリスクロス(最下位グレード)を斜め前から見たところ
あまり見かけない紺の一色。ホイールは樹脂キャップ付きのスチール。ここも最下位グレードの証です。

1. シートのヘッドレストが一体型だった

上の2グレードは、ヘッドレストが独立したいわゆる分離型。ところが私の買った X は、背もたれとヘッドレストがつながった一体型でした。カタログ上も X だけが「ヘッドレスト一体型シート」と書き分けられています。

これがどうにも、なんとも変な形に見えて仕方がなかった。座り心地がどうこうという以前に、目に入るたびに引っかかる。カタログの写真では気づきにくく、実車で毎日見て初めて分かる類の話です。

2. シートヒーターがなく、しかも後付けの逃げ道が塞がれていた

なぜか私は、昔からシートヒーターにこだわりがあります。冬の朝、あれがあるかないかで車に乗り込む気分がまるで違う。

最下位グレードには、それが付いていませんでした。ただ、この時点ではまだ気にしていませんでした。シートヒーターそのものは、ヤフオクやAliExpressでパーツとして普通に手に入るからです。実際、1台目のアウトランダーPHEVには自分で取り付けています。

付け方はだいたい2通りです。シートを剥がして中に埋め込むか、シートの上に貼って、その上からシートカバーをかぶせて隠すか。手軽さでいえば後者で、私が選ぶならこちらです。

ところが、ここで詰みました。当時、ヤリスクロス用のサードパーティ製シートカバーが、そもそも売られていなかったのです。

カバーが無ければ、貼ったヒーターを隠せません。となると残るのはシートの中に埋め込む方法ですが、これは話が一段大きくなります。「無ければ後から付ければいい」という私の常套手段が、ここでは使えませんでした。

ちなみに今でこそシートヒーターはかなり標準装備に近くなりましたが、当時は下位グレードには付かないことが多かった。逆に言えば、そこで差をつけて上位グレードへ誘導する戦略だったのかもしれません。まんまと引っかかった側の言い分ですけれど。

3. 後席のドアが、思ったより開かない

もうひとつが後部座席のドアです。開き角が浅く、乗り降りに苦労するほどでした。自分ひとりで乗っている分には気にならなくても、人を乗せたときにはっきり出ます。

――と、ここまで3つ挙げてはみたものの。

正直に白状すると、この辺りは「売るための口実」だったと言えなくもありません。高く売れると分かった時点で、私の中では答えが出ていて、あとは自分を納得させる理由を探していただけ、という側面は確かにありました。

それでも、いい車でした

3日で手放しておいて言うのもなんですが、ヤリスクロスは本当によくできた車でした。

何より燃費です。冒頭のメーター写真がすべてを語っています。下道30分で28.7km/L。日常の足として、これ以上望むことはあまりない。

色も気に入っていました。あの紺は本当に良かった。今でも街で同じ色のヤリスクロスとすれ違うと、つい目で追ってしまいます。

低い速度から効いてくれるレーントレーシングアシスト

もうひとつ、わずか3日でもはっきり印象に残ったのが運転支援でした。

トヨタのレーントレーシングアシスト(LTA)は、車線をはみ出しそうなときの警報や抑制については、約50km/h以上で働きます。ところが、レーダークルーズコントロールを併用しているときの「車線維持支援」は話が別で、取扱説明書にもはっきり「車線維持支援機能が作動中は約50km/h以下でも作動します」と書かれています。

私の体感では、時速30kmくらいの速度から支えてくれている感覚がありました。当時の私は、他のメーカーだともっと高い速度を出さないと働かないものが多いという印象を持っていたので、これはありがたく感じたものです。
(作動条件はメーカーや車種、年式によって異なります。実際の条件はお乗りの車の取扱説明書でご確認ください)

正直に書くと、私は通勤の帰り道で、ときどきとんでもない睡魔に襲われることがあります。一般道でクルーズコントロールを入れるのは、本来タブーかもしれません。それでも、万一のときに低い速度から車線維持が効いてくれるという事実は、心強く感じられました。

ただし、これはあくまで私個人の感想です。一般道でのクルーズコントロールの使用は、安全面からお勧めできる乗り方ではないかもしれません。運転支援はあくまで運転を補助するものであって、責任はいつでも運転している人間の側にあります。眠いときは、素直に停まって休むのが正解です。

買った先の対応も良かった

そして、買った先である生駒のトヨタディーラー系の認定中古車。ここの顧客サービスは素晴らしいものでした。3日で手放すような客に対しても、終始丁寧だったことは書き添えておきたいと思います。さすがトヨタ、という言葉が自然に出ました。

その証拠に、今回の買い替え検討でも、ヤリスクロスはちゃんと候補に挙がりました。3日で手放した車をまた候補に入れるくらいには、車としての出来を認めているということです。

ヤリスクロスのグレードの違いで、後から効いてくる3つ

ヤリスクロスのグレードの違いというと、装備表の◯と×を見比べる話になりがちです。ですが、実際に毎日乗って効いてくるのは、表に出てこない部分でした。同じ轍を踏まないために伝えられることがあるとすれば、次の3点です。いずれもカタログを眺めているだけでは気づきにくく、短い試乗でも見落としやすい部分です。

シートの形(ヘッドレストは分離か一体か)

装備表には「シート表皮」としか書かれていないことがあります。実車を見て、ヘッドレストが独立しているかどうかを必ず確認してください。ここは毎日目に入ります。

シートヒーターの有無と、後付けの「逃げ道」があるか

シートヒーター本体は、ヤフオクやAliExpressでパーツとして手に入ります。だから「無ければ後付けすればいい」は、基本的には正しい。問題は、貼ったヒーターをどう隠すかです。

手軽なのはシートカバーをかぶせる方法ですが、発売直後の車種や、シート形状が特殊なグレードだと、そもそもカバーが売られていないことがあります。そうなると残るのはシートに埋め込む方法だけで、難易度が一段上がります。

後付けを前提にグレードを決めるなら、ヒーター本体より先に、その車種用のシートカバーが実際に売られているかを確認してみてください。私はここで詰みました。

後席ドアの開き角

試乗のとき、運転席だけでなく後席のドアを実際に全開にして、乗り降りしてみてください。数値には出ない差が、日常で効いてきます。

おわりに

納車3日で手放した車。文字にすると我ながらひどい話ですが、あの時期は本当にそういう空気でした。ジムニーが250万円で売れ、買った車が買値以上で売れ、車がまるで値の下がらない資産のように見えていた。今から振り返ると、あれは一時の熱でした。

ヤリスクロスに罪はありません。燃費もよく、色も良く、買った先の対応も良かった。ただ、私が選んだグレードと、私のこだわりが、少しだけ噛み合わなかった。それだけの話です。

もしこれから中古でヤリスクロスを探す方がいたら、価格だけでなくグレードの中身まで見てあげてください。上のグレードとの差は、装備表の行数以上に、日々の気分に効いてきます。

それにしても、あのときの妻の「病気」という一言は、今でもときどき思い出します。まったくもって、その通りでした。

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