2021年、私は1年のうちに3回、納車を経験しました。妻からは「病気」と言われました。返す言葉はありません。
すべての引き金になったのが、納車から4か月しか経っていないジムニーに、250万円という値が付いたことでした。
グリルのほうが先に届いた夏
2021年の夏、私は1台のジムニーを待っていました。JB64のXC、5速マニュアル。色はジャングルグリーン。
納車の1週間前、社外グリルのほうが先に家に届きました。車はまだ来ていないのに、部品だけが床に転がっている。

8月21日、ジムニーがやってきました。久々のマニュアル車です。当時の私はこう書いています。
ジム兄納車されました。久々のミッション、走ってる感あっていい。納車記念にクマのぬいぐるみをいただきました。

雨上がりのボンネットにクマを座らせて写真を撮っている時点で、相当浮かれています。この日から4か月しか乗らないとは、当然ながら思っていません。

月1,000kmペースで乗った4か月
そこからは、よく乗り、よく触りました。
納車の8日後には、真夏のガレージでバックカメラを取り付けています。内張りを外して、配線を通して、また戻す。暑いに決まっているのですが、新しい車が来た直後というのは、そういうことがまったく苦にならないものです。

9月には、ホイールをアピオのWILDBOAR SR(コットンホワイト)に履き替えました。白いホイールに、ホワイトレターのタイヤ。ジムニーは足元を変えるだけで顔つきがまるで変わります。そのまま大和川の河川敷まで走って、信貴山を背景に1枚。この写真は今でも気に入っています。

9月22日に走行1,000km、10月28日に2,000km。ちょうど月1,000kmのペースです。2,000kmを迎えたときの平均燃費は13.1km/Lでした。街乗り中心の軽4WD・マニュアルとしては、こんなものだと思います。

走っては触り、触っては眺める。私にとっていちばん楽しい時期でした。
ただ、遠出はきつかった
その一方で、ひとつだけ引っかかっていたことがあります。
11月23日、天気のいい日に妻と加太までドライブに出かけました。目的は友ヶ島。ところが港に着くと、強風で船が欠航しているという。海の向こうに島だけが見えて、渡れない。

そして帰り道、私はこう書いています。
往復200km弱のドライブでしたが、軽自動車だからか、サスのせいなのか、はたまた歳のせいなのか、めっちゃ疲れました(笑)これで遠出はきついかも。
ジムニーという車を分かって買ったつもりでした。実際、街乗りやちょっとした山道では最高に楽しい。ただ、往復200kmとなると話が変わってくる。悪い車だという意味ではなく、そういう性格の車だということです。
この「遠出はきついかも」という一行が、後から効いてきます。
250万円という値が付いた
2021年は、半導体不足で新車の納期が読めなくなっていた年でした。人気車種は「今すぐ乗れる」というだけで価値が上がり、中古車市場にプレミアが付いていた時期です。
ジムニーは、その筆頭のような車でした。もともと納期の長い車です。そこに納期遅延が重なって、程度のいい個体には信じられない値が付いていました。
私のジムニーに付いた値段は、250万円でした。
納車から4か月。走行2,000km台。買った値段より高い。
「車は乗った瞬間から値が下がるもの」という、私が何十年も当たり前だと思ってきた前提が、このときだけひっくり返っていたのです。
ちょうど「遠出はきついかも」と感じていたところでした。背中を押す理由としては、十分すぎました。
そこから、箍が外れました
ここからの2か月が、我ながらひどい。
12月11日、ヤリスクロス納車
ジムニーを手放し、代わりに来たのが紺色のヤリスクロスでした。認定中古車で、走行1,678km。納車日にディーラーから自宅まで下道を30分走って、燃費計は28.7km/Lを表示していました。「すごいな最近の車は」と、私はまた浮かれています。
12月19日、そのヤリスクロスを手放す
8日後の投稿がこれです。
まさか納車3日で手放すことになろうとは。。。コーティング代5万円が惜しまれる(笑)
この車もまた、買値より高く売れました。ただ、理由はそれだけではありません。シートの形やシートヒーターなど、3日で決断するに至った事情は「納車3日で手放したヤリスクロス」に書きました。
12月26日、フィット クロスター納車
年の瀬に、3台目が来ます。このときの投稿がすべてを物語っています。
まいにゅー。まさかの今年3回目の納車(汗)しばらくはこれでいきます。
「しばらくはこれでいきます」と自分に言い聞かせているあたりに、当時の心境がにじんでいます。
ちなみにこの年は、8月に1台目のアウトランダーPHEVも車検前に手放しています。妻の軽自動車も夏に入れ替えました。家の車が、1年でまるごと入れ替わったことになります。
妻の「病気」という一言は、この流れを一部始終見た上での感想です。まったくもって、その通りでした。よく許してくれたものだと思います。
そして4年後、同じ車をもう一度買いました
話には続きがあります。
2025年2月。私はもう一度、JB64ジムニーを買いました。

今度こそ、終の車。人生トータル20台目、2回目のJB64ジムニーオーナーとなりました。いじるとこいっぱいあるので精一杯楽しみます。今回は、悩みましたがATにしました。
1台目は1型のMT、2台目は3年落ち4万km走行の2型最終型でAT。同じJB64でも「進化している」というのが、乗り比べた実感でした。
結局またタイヤから手を付けた
そして今回もまた、性懲りもなくヤフオクでホイールとタイヤを落札しています。近県の出品者だったので引き取りに行きました。自宅から亀山まで往復です。
選んだのはトーヨータイヤのオープンカントリーR/T。ホワイトレターです。当時の私はこう書いています。
燃費も乗り心地も悪くなることはわかっちゃいるけど、ホワイトレターの誘惑には勝てず。

分かっていても履きたくなる。ジムニー乗りなら、この気持ちは分かっていただけると思います。実際、足元が変わるだけで顔つきがまるで違ってきます。
ちなみに私が履いたのはR/T(ラギッドテレーン)ですが、同じオープンカントリーにはA/T(オールテレーン)もあります。見た目の迫力はR/T、静かさと燃費ならA/Tという住み分けです。ホワイトレターはどちらにもあります。
ちなみに1台目のジャングルグリーンにも、白いホイールにトーヨーのホワイトレターを合わせていました。結局同じところに戻ってくるわけです。
結局、私はこの車が好きだったのです。250万円という数字がなければ、あのまま乗り続けていたかもしれません。
あの熱は、何だったのか
今になって振り返ると、2021年のあれは一時の熱でした。
車が値下がりしない。むしろ上がる。その状況が続くと、「乗り続けること」より「乗り換えること」が得に見えてきます。実際、あの時期に何度か乗り換えた人は、金額の上では損をしていないはずです。
ただ、失ったものもあります。私は、いちばん楽しい時期のジムニーを4か月で手放しました。グリルを先に買い、真夏にバックカメラを付けて、河川敷で写真を撮って、これから育てていくところだった車です。あの緑のジムニーとの時間は、250万円と引き換えに終わってしまった。
4年後にもう一度同じ車を買ったのは、たぶんその埋め合わせだったのだと思います。
もし今、あなたの車に思いがけない高値が付いたとしたら。その金額は本物です。でも、その車と過ごすはずだった時間には、値段が付いていません。両方を天秤にかけてから決めても、遅くはないはずです。
――と、25台乗り継いで、3回納車された年を持つ人間が言っても、説得力はないかもしれませんが。
