アウトランダーPHEVで車中泊してみた|GG3Wはフルフラット?深夜1時にエンジンがかかった話

アウトランダーPHEV GG3Wのフルフラット空間を荷室側から見たところ
目次

13年通い続けた信州花火の夜へ向けて――なぜ私はアウトランダーPHEVで前泊旅に出たのか

リタイア後の初夏、13回目の飯田・深見の池花火大会へ

毎年7月の第4土曜日になると、私の心は決まって長野県飯田市へと向かいます。南信州の山あいに位置する深見の池で催される花火大会を鑑賞し、打ち上げ終了後はそのまま極楽峠パノラマパークへと移動して、仲間たちと深夜のバーベキューを楽しむのが恒例の行事になっているからです。私がこの集まりに初めて参加したのは、今から13年も前のことでした。

最初のころは数人ほどの小さな集まりでしたが、年を追うごとに口コミや紹介で輪が広がり、現在では実に多くの参加者が集う大きなイベントへと成長しました。これだけ大所帯になっても、私は毎年決まって1人で車を走らせて現地入りしています。道中のドライブを自分のペースで気ままに味わい、夜の宴に合流するこのスタイルが、私にとって何より心地よい夏の恒例行事なのです。

そして今年、私は会社員生活を無事にリタイアし、これまで以上に自由に使える時間を手にすることができました。せっかく時間に縛られない身になったのですから、当日の午後に慌ただしく家を出るのではなく、前日から現地近くに入って信州の名所をのんびり巡ってみようと考えました。そこで思い立ったのが、一度体験してみたかった中央アルプス・駒ヶ岳の千畳敷カール観光と、新しい相棒であるアウトランダーPHEVを使った車中泊の組み合わせでした。

納車されてからというもの、この車で本格的な車中泊とRVパークでの宿泊を一度試してみたいとずっと考えていました。飯田へ向かうルート上にある駒ヶ岳の麓で一晩を明かし、翌朝一番のロープウェイで絶景を眺めてから花火大会へ合流するという計画は、リタイア記念の気ままな一人旅としてまさに理想的なプランに思えたのです。

なぜ現行型ではなく、あえて中古のGG3Wを選んだのか

今回の旅の相棒は、2026年のゴールデンウィーク直前に納車されたばかりの2019年式三菱アウトランダーPHEV「GG3W型(2.4L)」のGプラスパッケージです。走行距離は3.6万kmで、メーカーオプションの電気温水ヒーターとサンルーフが装着された個体を探し出して手に入れました。直前まではスズキ・ジムニー(JB64型)に乗っており、素晴らしい軽四駆でしたが、長距離ツアラーとしての快適性と車中泊の利便性を求めて下取りに出す形で乗り換えを決めました。

実は私にとって、アウトランダーPHEVを所有するのはこれが初めてではありません。以前、先代にあたる初期型のGG2W型(2.0L)に乗っていた時期があり、同じ車種の熟成された進化版に再び戻ってきた形になります。乗り換えにあたっては、日産エクストレイルと基本骨格を共同開発した現行型のGN0W型も当然ながら有力な候補としてじっくり検討しました。

現行型は最新鋭の運転支援システムが極めて魅力的で、内外装の質感も大幅に向上しており、車としての完成度は非常に高いモデルです。しかし最終的に私が現行型を見送り、あえて一世代前のGG3W型を選んだのには、車中泊を前提とした使い方における決定的な理由がありました。現行型はボディサイズがさらに拡大されたにもかかわらず、3列シート仕様の構造や床面設計の影響からか、後席を倒しても荷室の床面が完全なフルフラットにはならないそうなのです。

さらに中古車市場における車両価格の差も無視できませんでした。現行型の先進的な運転支援機能は確かに素晴らしいものですが、私が求める長距離クルージングや車中泊、アウトドアでの給電といった用途であれば、2.4Lエンジンと大容量バッテリーを積んだGG3W型で機能的に十分すぎるほど満たされています。何より「車内でいかに平らに快適に眠れるか」を最優先事項としていた私にとって、後ろが完全に平らになるGG3W型を選ぶことは極めて合理的で必然的な結論でした。

車中泊目線で比較した他社候補と、最終的に譲れなかった条件

ジムニーからの乗り換えを検討し始めた当初、私が掲げていた希望条件はかなり欲張りなものでした。毎年支払う自動車税をできる限り抑えたいという思いから排気量は1,500cc以下を希望し、実燃費20km/L以上の経済性、災害時やアウトドアで活躍するAC1500W給電機能、駐車を助けるパノラマモニター、冬場に重宝するシートヒーターとハンドルヒーター、そして渋滞時に便利な電動パーキングブレーキを必須条件として挙げていたのです。

この厳しい条件をもとに、市場にあるさまざまなクロスオーバーSUVやコンパクトミニバンを比較検討しました。候補に挙がったのは、トヨタのカローラクロスやヤリスクロス、シエンタ、レクサスUX、さらにはフランス車のシトロエン・ベルランゴなど、実に多岐にわたる魅力的なモデルばかりでした。それぞれの特徴を整理して比較した当時の記録が以下の通りです。

車種名 排気量・税区分 AC1500W給電 後席フルフラット性 選考結果と見送りの理由
三菱 アウトランダーPHEV(GG3W) 2.4L(自動車税高め) 標準装備(大容量バッテリー) 完全フルフラット可能 採用。税金面を諦めても車中泊性能と給電力が圧倒的
トヨタ シエンタ(現行型) 1.5L(希望通り) メーカーオプション設定あり 良好(ほぼフラット) 最後まで残ったが、条件を満たす上位グレードは中古でも高額だった
トヨタ カローラクロス 1.8Lハイブリッド メーカーオプション設定あり 段差あり(要マット工夫) 荷室の段差と、希望装備を揃えた際の中古相場の高さで見送り
トヨタ ヤリスクロス 1.5Lハイブリッド メーカーオプション設定あり 車内長不足 後席を倒しても大人1人がまっすぐ足を伸ばして寝るには手狭だった
シトロエン ベルランゴ 1.5Lディーゼル なし(AC100Vなし) 完全フラット可能 積載性とフラット空間は抜群だが給電機能がなく維持費を考慮し見送り

比較作業の中で最後まで私の頭を悩ませたのはトヨタのシエンタでした。排気量1.5Lで税金が安く、シートアレンジも秀逸で床面も低く平らになり、AC1500Wコンセントも選べるため、車中泊カーとして非常にバランスが取れていたからです。しかしハンドルヒーターやパノラマモニターといった希望装備をすべて満たす上位グレードを探すと、当時の人気も手伝って中古車相場が非常に高く、予算面で折り合いがつきませんでした。

そこで私は原点に立ち返り、「自動車税を抑えるために1,500cc以下にする」という条件を思い切って諦める決断を下しました。排気量2.4LのGG3W型は毎年の税金こそ高くなりますが、中古車市場におけるコストパフォーマンスの高さ、大容量駆動用バッテリーによる安定した電力供給能力、そして何より先代GG2W型で熟知していた室内の広さと完全フラットな就寝空間は、他のコンパクトカーでは到底得られない圧倒的な強みだったからです。

駒ヶ岳RVパークへ到着――アウトランダーPHEV 車中泊空間を設営する

平日なのに満サイトの熱気と、思わず妻に送ったシュナウザーの写真

飯田での花火大会前日、私は信州の爽やかな風を感じながら中央自動車道を北上し、予約していた駒ヶ岳RVパークへと車を滑り込ませました。予約を入れた段階では平日の利用ということもあり、予約台数は私1人だけで完全に貸切状態になるだろうと予想していました。ところが実際に現地へ到着してみると、驚いたことに広々とした電源付きサイトはすべて埋まっており、満サイトの活気に包まれていたのです。

周囲を見渡すと、キャブコンバージョンやバスコンバージョンといった本格的な大型キャンピングカーが何台も誇らしげに並んでいました。サイドオーニングを広げ、アウトドアテーブルやチェアをおしゃれにセットして思い思いの時間を過ごしているベテランキャンパーたちの姿は壮観で、リタイアした同世代とおぼしき方々が悠々自適に旅を楽しんでいる空気が漂っていました。その本格的なキャンプ空間のなかに、普段使いのクロスオーバーSUVであるアウトランダーPHEVで乗り入れた私は、少しばかり気後れしつつも設営を開始しました。

隣のサイトに目を向けると、大型キャンピングカーのオーナーさんが愛犬を連れてくつろいでいました。よく見ると、立派な眉毛と口ひげが愛らしいシュナウザーが2匹、仲良く並んで尻尾を振っていたのです。実は我が家でも同じように犬を飼っているため、遠く離れた旅先で楽しそうに過ごすその姿を見て、なんとも言えない愛おしさと親近感が込み上げてきました。

思わずスマートフォンを取り出し、キャンピングカーの傍らでお行儀よく座っているシュナウザーの写真を撮影しました。その場で「隣のキャンピングカーに可愛いシュナウザーが2匹もいるよ」とメッセージを添えて妻へ送信すると、すぐに楽しそうな返信が届きました。一人旅の道中でありながら、こうした些細な発見を家族と共有できるのも、通信が整った現代の旅の素晴らしいところだと感じます。

後席は本当にフルフラットになるのか?愛用エアウィーヴを敷いた寝室作り

インターネットの掲示板やSNSを見ていると、「アウトランダーPHEVは本当に車中泊でフルフラットになるのか?」という疑問を抱いている方が少なくないようです。結論から申し上げますと、GG3W型の後席は完全にフルフラットになります。座面を前方に跳ね上げてから背もたれを前に倒すダブルフォールディング方式を採用しているため、荷室フロアから倒したシートの裏側まで、傾斜のない見事な水平面を作り出すことができるのです。

アウトランダーPHEV(GG3W)の2列目シート。運転席側には車載冷蔵庫を積んだまま
変形前の2列目。運転席側には車載冷蔵庫を積んだまま残してある
アウトランダーPHEV GG3Wの2列目座面を前方に跳ね上げたところ
まず座面を前方へ跳ね上げる。ダブルフォールディングの1段目
座面を跳ね上げて床が現れた状態のアウトランダーPHEV GG3W後席
座面が上がると、その下から平らな床が現れる

この完全な水平空間こそが、私が現行型ではなくGG3W型を指名買いした最大の理由でした。今回の車中泊にあたって、私は助手席側の2列目シートだけを前方に倒し、運転席側は通常の座席として荷物置き場に残すアレンジを選択しました。一人旅であれば車幅の半分をベッドスペースにし、残り半分を着替えやギアの置き場として活用できるため、車内での移動や着替えが驚くほどスムーズに行えます。

アウトランダーPHEV GG3Wのフルフラット空間を荷室側から見たところ
背もたれを倒すと、荷室からここまでが一枚の平面になる(荷室側から)
前席側から見たアウトランダーPHEV GG3Wのフルフラットな床面
前席側から見たところ。段差も傾斜も出ていない

そして今回のベッドメイキングには、車中泊専用のエアマットではなく、自宅のベッドで普段から愛用している「エアウィーヴ」のマットレスをそのまま車内に持ち込んで敷き詰めました。車中泊で翌日に疲れを残さないための秘訣は、普段寝慣れている寝具の感触をできる限り車内に再現することだと考えていたからです。

助手席側のヘッドレストを外し、前席を少し前にスライドさせて生まれた隙間にバッグを詰めて長さを延長し、その上にエアウィーヴを敷くと、まるで誂えたかのような極上のシングルベッドが完成しました。試しにゴロンと横になってみると、段差や傾斜による違和感は一切なく、適度な反発力で体がしっかりと支えられ、家の寝室と変わらない素晴らしい寝心地に思わず笑みがこぼれました。

アウトランダーPHEV GG3Wの前席スライドスイッチ
前席を前へ出して、寝床の長さを稼ぐ

せっかく平らになったので、この面が実際に何センチあるのかをメジャーで測ってみました。バックドア側の端に爪を引っ掛け、テープを前席の背もたれまで伸ばしていくと、目盛りは195cmを少し超えたあたりで止まりました。ほぼ2mです。

アウトランダーPHEV GG3Wのフルフラット長をメジャーで実測。ほぼ2m
バックドア側に爪を引っ掛け、前席の背もたれまで伸ばしたところ。目盛りは195cmを超えている
同じ測定を荷室側から見たところ
同じ測定を荷室側から見たところ

この数字が分かると、寝具選びが一気に楽になります。日本で売られているシングルマットレスは長さ195cm前後の製品が多く、つまり家庭用のシングルがそのまま入るということだからです。私がエアウィーヴを車中泊用のマットに買い替えることなく、自宅のものをそのまま持ち込めたのは、この長さがあってこそでした。

走行中の車載冷蔵庫から就寝時の電気ポットまで!AC1500Wのリアルな使い道

アウトランダーPHEVが持つ最大の武器といえば、車内に備えられたAC100V・最大1500Wの大型コンセントです。一般のガソリン車に付いている簡易的なシガーソケット給電とは異なり、家庭用の高出力家電製品をそのまま使えるこの機能が、私の車中泊の快適性を劇的に引き上げてくれています。今回の旅でも、このAC1500W電源は大活躍してくれました。

まず移動中は、ラゲッジスペースに積載した車載冷蔵庫の電源として常時稼働させていました。真夏の車内はエアコンをかけていても荷室付近の温度が上がりやすいものですが、大容量電源のおかげで冷たい飲み物や信州の食材を常にキンキンに冷やした状態で持ち運ぶことができます。なお、私が使っている車載冷蔵庫(BougeRV CRD2 V2.0・40L)は本体にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが内蔵されているタイプのため、エンジン停止中や電源オフ時でも冷蔵庫単体でバッテリー駆動を継続でき、車の駆動用バッテリーに過度な負担をかけない設計にしています。

そしてRVパークに到着してからの車中泊時におけるAC1500Wの主役は、自宅から持参した家庭用の「電気ポット(湯沸かし器)」です。アウトドア用のガスバーナーを使って湯を沸かすのもキャンプの醍醐味ですが、狭い車内での火気使用は一酸化炭素中毒や火災の危険が常に伴います。アウトランダーPHEVであれば、スイッチひとつで安全かつ瞬時に熱湯を沸かすことができるのです。

設営を終えて一息ついた夕暮れ時、電気ポットで沸かしたお湯を使って熱いお茶を淹れ、車内で静かに喉を潤しました。火を使わずに密閉された車内でお湯を沸かせる安心感と利便性は、一度味わってしまうとガソリン車や通常のハイブリッド車での車中泊には戻れなくなるほどの強烈な魅力を持っています。

アウトランダーPHEV 車中泊で迎えた深夜1時――エアコン稼働と突然のエンジン始動

EVモード28度設定で就寝――ナビの明かりと消し忘れたヘッドライトの落とし穴

夕食を済ませて周囲がすっかり暗くなったころ、私は翌朝の千畳敷カール観光に備えて早めに床に就くことにしました。7月下旬の信州とはいえ、標高のある駒ヶ岳山麓でも車内を閉め切るとやや蒸し暑さを感じたため、PHEVの利点を活かしてエアコンを稼働させたまま寝ることにしました。システムを起動し、エンジンがかからないようEVモードを維持した状態で、エアコンの温度を快適な28度に設定して就寝態勢に入りました。

ここで最初の小さなトラブルと、車中泊ならではの盲点に直面することになりました。アウトランダーPHEVはシステムを「READY ON」状態にしてエアコンを動かすため、車内のナビゲーション画面やメーターパネルの液晶ディスプレイが点灯したままになってしまいます。画面設定でディスプレイを消灯させるメニューはあるものの、完全な漆黒にすることは難しく、メーター類のインジケーターランプなどの明かりが暗い車内では意外なほど気になってしまうのです。

さらに恥ずかしい失敗もありました。車外に出て車全体の様子を確認した際、なんとフロントのヘッドライトが点灯したままになっていることに気がついたのです。システムを起動した際にオートライトが周囲の暗さに反応して点灯していたのですが、車内にいると前方の壁や障害物がなかったため、かなりの時間その状態のまま放置してしまっていました。

「これはやってしまった、せっかくの貴重なバッテリー電力を無駄に消費してしまったかもしれない」と激しく後悔しました。慌ててライトスイッチを手動でオフにして消灯させましたが、初めてのPHEV車中泊では、普段の運転とは異なる電装系の扱いに細心の注意を払わなければならないことを痛感させられた出来事でした。

静寂を切り裂く振動!深夜1時にかかったエンジンで飛び起きた瞬間

ヘッドライトを消し、タオルをメーターパネルの上に被せて遮光対策を施したあとは、エアウィーヴの寝心地の良さも手伝ってすぐに深い眠りへと落ちていきました。涼しい微風が車内を循環し、まさに極楽のような快適さの中で熟睡していたのですが、その平穏な時間は深夜に突然破られることになります。

夜中の1時ちょうどごろ、それまで静まり返っていた車内に「グオォォン」という重低音と、シートを通じて背中全体に伝わる強い揺れが発生しました。駆動用バッテリーの残量が規定値を下回ったため、システムが自動的に判断して発電用の2.4Lガソリンエンジンを始動させたのです。その激しい振動と音に、私は心臓が跳ね上がるほど驚いて完全に目が覚めてしまいました。

先代のGG2W型からGG3W型へと進化した際、2.4Lアトキンソンサイクルエンジンへの換装によって静粛性は大幅に向上していました。実際、日中に一般道や高速道路を走行している最中にエンジンがかかっても、モーター走行との切り替わりに気づかないほど静かで滑らかです。しかし、周りが完全に静まり返った深夜のRVパークで、車内のベッドに横たわって体を密着させている状態では、話がまったく別でした。

「走行中ならあんなに静かなのに、寝ている状態だとこれほどダイレクトに振動が響くのか!」と驚愕しました。車体全体が小刻みに震え、静寂に包まれたキャンプ場内にエンジンの排気音が響く感覚は、寝ている人間を確実に起こしてしまうほどのインパクトを持っています。「EVモードにしておけば一晩中無音でエアコンが使える」と思い込んでいた私にとって、この深夜1時のエンジン始動は、PHEV車中泊のリアルな現実を身をもって知る強烈な体験となりました。

エンジン停止後の朝まで――真夏の車内環境とバッテリー残量のリアル

飛び起きてメーターを確認すると、駆動用バッテリーの目盛りが減少し、チャージモードのようにエンジンが力強く発電を続けていました。周囲のキャンパーたちに騒音で迷惑をかけてしまっては申し訳ないという焦りもあり、私は一度深呼吸をして車外の気温を確認してみました。

夜中の1時を過ぎた駒ヶ岳の山麓は、日中の熱気がすっかり抜けて心地よい冷気に包まれており、窓を少し開けて換気するだけでも十分に過ごせる気温まで下がっていました。そこで私はシステムを完全に停止させ、エアコンを切って窓に防虫ネットを装着し、自然の風を取り入れながら朝まで過ごす方針へと切り替えました。

幸いなことに、エアコンを止めたあとも室内の温度が急上昇することはなく、信州の爽やかな夜風を感じながら、朝の起床時刻まで再び快適にぐっすりと眠ることができました。ヘッドライトの消し忘れという初歩的なミスがあったとはいえ、EVモードでのエアコン稼働はバッテリー容量の制約を受けるため、真夏の平野部のように熱帯夜が続く過酷な環境では、途中でエンジンが始動することをあらかじめ織り込んでおく必要があると実感しました。

翌朝目覚めたとき、車内には澄んだ山の空気が満ちており、鳥のさえずりが心地よく響いていました。深夜のエンジン始動というハプニングこそあったものの、エアウィーヴのおかげで腰の痛みや身体の疲労感はまったくなく、体調は極めて万全でした。前夜の失敗と教訓を頭の中で整理しながら、私は爽快な気分で2日目の朝の準備を始めました。

翌朝の千畳敷カールと冷や汗のハプニング――財布紛失からの生還劇

ロープウェイ連絡バスで青ざめた「財布がない!」事件

RVパークでの朝食を済ませて身支度を整えた私は、いよいよ楽しみにしていた中央アルプス・千畳敷カールを目指して出発しました。マイカー規制のため、麓の菅の台バスセンター駐車場にアウトランダーPHEVを停め、そこから専用の路線バスに乗り換えてロープウェイの起点であるしらび平駅へと向かう山岳ルートです。

バスの車窓から流れる深い緑と渓谷の美しさに心を奪われながら、バスに揺られること約30分。しらび平駅に到着し、いざロープウェイの往復乗車券を購入しようとズボンのポケットやリュックの中を探った瞬間、私の全身から血の気がサーッと引いていきました。いくら探しても、クレジットカードや現金、運転免許証が入った大切な財布が見当たらないのです。

「嘘だろ、どこで落としたんだ……?」と冷や汗が吹き出し、頭の中が真っ白になりました。直前の記憶を必死に手繰り寄せると、バスに乗車する際に小銭を出そうとしてポケットを探った際、あるいは座席に深く腰掛けた拍子に、ポケットから滑り落ちてしまった可能性が最も高いことに気づきました。標高数千メートルの山麓へ向かう途中で財布を失うという、一人旅において最悪と言ってもいいトラブルに見舞われてしまったのです。

ロープウェイで絶景を眺めるどころではなくなり、私は青ざめた顔ですぐにしらび平駅の係員さんやバスの運行会社に事情を説明し、乗ってきたバスの車内や停留所周辺を必死に捜索していただきました。リタイア後の気ままな一人旅が一転して、途方に暮れるサバイバルへと変貌した瞬間でした。

数時間後の奇跡と、安堵の中で味わった駒ヶ根名物ソースかつ丼と温泉

結論から申し上げますと、数時間におよぶ捜索と連絡待ちの末、私の財布は奇跡的にそのままの状態で手元に戻ってきました。バスの折り返し運行の点検時に、座席の隙間に挟まっていたのを運転手さんが見つけて届けてくださっていたのです。中身の現金もクレジットカードも1枚たりとも失われておらず、完璧な状態で戻ってきた財布を受け取ったとき、私は日本の治安の良さとバス会社の皆様の誠実な対応に心の底から深く感謝しました。

「本当に命拾いした……」と強烈な安堵感に包まれると、それまで緊張で張り詰めていた空腹感が一気に押し寄せてきました。無事に千畳敷カールの雄大な大自然を目に焼き付けて山を下りてきた私は、精神的な疲労と空腹を癒やすべく、駒ヶ根名物として全国的に知られる「ソースかつ丼」の有名店へと車を走らせました。

運ばれてきた丼の蓋を開けると、ソースの香ばしい匂いとともに、肉厚で揚げたて熱々の大きなカツがキャベツの上に豪快に鎮座していました。甘辛く濃厚な特製ソースが染み込んだジューシーな豚肉を一口頬張ると、サクサクとした衣の食感とともに旨味が口いっぱいに広がり、冷や汗をかいた身体の隅々までエネルギーが満ちていくのを感じました。

お腹をいっぱいに満たしたあとは、近くの信州駒ヶ根温泉へと立ち寄り、露天風呂にゆっくりと身を沈めました。南アルプスの山並みを眺めながら、柔らかな泉質のお湯に浸かっていると、午前中の財布紛失事件の恐怖もすっかり笑い話のような思い出へと昇華されていきました。身体の芯まで温まり、心身ともに完全にリフレッシュを完了した私は、いよいよ最終目的地である飯田へと向かう準備を整えました。

極楽峠パノラマパークの深夜BBQへ――2026年の旅路をつなぐ相棒

夕方、飯田市街へと移動した私は、深見の池のほとりで13回目となる花火大会を鑑賞しました。山あいに響き渡る大迫力の重低音と、水面に映り込む色鮮やかな花火の光景は、毎年来ていても息を呑むほどの美しさです。そして花火の打ち上げが無事に終了した深夜、私たちは標高の高い極楽峠パノラマパークへと車を連ねて移動しました。

眼下に広がる飯田市街の美しい夜景を遠くに眺めながら、涼しい山頂の風の中で深夜のバーベキューが始まりました。長年顔を合わせている気心の知れた仲間たちと肉を焼き、他愛のない車談義や旅の思い出話に花を咲かせる時間は、何物にも代えがたい至福のひとときです。昼間の財布騒動を話すと全員から大爆笑され、旅の最高のスパイスとなりました。

2026年のゴールデンウィークに我が家へやってきて以来、このアウトランダーPHEVはすでに四国・九州一周のロングドライブ、金沢から黒部立山アルペンルートを巡る山岳ツアラー旅、今回の駒ヶ根・飯田の車中泊旅、そして泉南での優雅なグランピング旅行と、日本中を縦横無尽に駆け巡ってくれています。どんな長距離を走っても疲れ知らずで、夜には頼もしい寝室と電源ステーションへと変身してくれるこの車は、リタイア後の私の人生を豊かに彩る最高の相棒となっています。

アウトランダーPHEV(GG3W)の中古車選びで失敗しないための実践チェックポイント

駆動用バッテリー容量(SOH)を三菱の診断機で数値確認する重要性

私がこの2019年式GG3W型を中古車で購入する際、走行距離や外装の傷以上に徹底してこだわったのが「メインの駆動用バッテリーの劣化状態」でした。PHEVという車は、大容量バッテリーの健全性が航続距離や燃費、さらには車中泊時におけるエアコンの稼働時間に直結するからです。

中古のPHEVを検討する際、絶対に確認すべきなのが「SOH(State of Health=バッテリー健全性・容量保持率)」と呼ばれる数値です。この数値は一般的な中古車情報サイトのスペック表には記載されておらず、車載のメーター画面から簡単に確認することもできません。三菱正規ディーラーに設置されている専用の車両診断機(MUT-IIIなど)を車両のOBD2ポートに接続して初めて、パーセンテージとして正確に測定できるデータなのです。

私は契約前の条件として、販売店に対して「納車前の点検時に三菱の診断機でバッテリー容量測定を行い、SOHの数値を書面で明示してほしい」と正式に依頼しました。バッテリー容量が大きく低下している個体を選んでしまうと、本来のEV走行性能を享受できず、車中泊でもあっという間にエンジンがかかってしまう原因になります。中古でアウトランダーPHEVを探す際は、この診断機によるSOH開示を快く引き受けてくれる信頼できる店舗から購入することが極めて重要です。

走行3.6万km・電気温水ヒーター・サンルーフ付きを選んだ私の判断基準

中古車市場に数多く流通しているGG3W型の中から、私が最終的に選んだのは走行距離3.6万km、メーカーオプションの「電気温水ヒーター」と「電動サンルーフ」が装備されたGプラスパッケージでした。この仕様にこだわったのには明確な理由があります。

まず走行距離については、PHEVのシステム全体や足回りのヘタリが少なく、駆動用バッテリーへの負荷も比較的小さい3万km台をターゲットに据えていました。そして最も重視していたオプションが電気温水ヒーターでした。通常のPHEVは冬場に暖房をつけると温水を作るためにエンジンが強制的に始動してしまいますが、電気温水ヒーターが装着されていれば、電気の力だけで温水ヒーターを作動させ、エンジンをかけずにEV走行のまま暖房を使うことができるからです。

ただし、実際に納車されてからさまざまな季節を旅し、今回の真夏の車中泊も経験したあとで冷静に振り返ってみると、少し違った見方もできるようになりました。冬場の車中泊暖房に関して言えば、AC1500W電源を使って家庭用の電気毛布や小型電気カーペットを敷いてしまえば、室内の暖房をガンガンに効かせなくても驚くほど暖かく快適に眠ることができるからです。もちろん普段の冬道ドライブでは電気温水ヒーターの恩恵は絶大ですが、車中泊用途に絞って考えるなら、電気毛布の活用を前提にヒーターなしの安価な個体を狙うのも賢い選択肢だと感じています。

2026年に巡った日本各地の旅路で見えたGG3Wの実力

納車から数ヶ月の間に、私はGG3W型を駆って日本各地のさまざまなロケーションへと足を延ばしました。実際に長距離を走破してみて感じた走行性能と居住性の評価を、旅の記録とともにまとめました。

旅行先・ルート 走行シーン・用途 GG3Wの実力と実感したメリット
四国・九州一周ロングドライブ 長距離高速クルージング、ワインディング 2.4Lエンジンの余裕あるトルクとS-AWCによる抜群の直進安定性で、一日800km走っても腰が痛くならない高い疲労軽減性を発揮。
金沢〜黒部立山アルペンルート 険しい山岳路、高低差のある峠越え ツインモーター4WDの強力な登坂力と回生ブレーキセレクター(パドルシフト)による自由自在な減速コントロールで、急勾配の下り坂もブレーキのフェード現象の心配なく極めて安全に走破。
駒ヶ根〜飯田(信州前泊旅) RVパークでの車中泊、AC1500W給電 後席の完全フルフラット空間による快適な就寝環境と、車載冷蔵庫や電気ポットをストレスなく使える大容量電力供給能力を実証。
泉南グランピングリゾート リゾートドライブ、海沿いクルーズ サンルーフを開けて爽快な風を感じながらの静かなEVクルージングと、高級リゾートの景観に馴染む上質なスタイリングを堪能。

先代GG2W型と比べて排気量が2.0Lから2.4Lへと拡大されたGG3W型は、高速道路の合流や登坂路でのエンジンの唸り音が劇的に抑えられており、車格がワンランク上がったかのような静粛性と余裕を持っています。日常の買い物では完全なEVとしてガソリンを一滴も使わずに走り、いざ長距離の旅に出れば電欠の不安なくどこまでも走り続けられるこのパッケージングは、まさに現代のツアラーとして完成された一台だと実感しています。

アウトランダーPHEVの車中泊に関するよくある質問

後席は大人でも完全に足を伸ばしてフルフラットで寝られますか?

はい、GG3W型のアウトランダーPHEVは、後席を倒すことで大人でも完全に足を伸ばして寝られる完全なフルフラット空間になります。座面を前方に跳ね上げてから背もたれを倒す構造のため、フロアと荷室の間に不快な段差や傾斜が一切発生しません。

前席を少し前にスライドさせて隙間を荷物などで埋めた状態で実際にメジャーを当ててみたところ、縦方向の長さは195cmを少し超え、ほぼ2mありました。身長のある大人の男性であっても、頭や足先がつっかえることなくまっすぐに横たわることが可能です。市販のキャンプ用マットはもちろんのこと、今回私が実践したように家庭用のシングルサイズマットレス(エアウィーヴなど)をそのまま敷いて快適に眠ることができます。

バッテリーだけで真夏や真冬に一晩中エアコンを動かせますか?

真夏の熱帯夜などに車載バッテリーの電力だけで一晩中エアコンを動かし続けることは難しく、途中でバッテリー残量が低下してエンジンが自動始動します。今回の私の体験でも、EVモード・設定温度28度で就寝したところ、深夜1時ごろにバッテリーが減少してエンジンが始動しました。

走行中であれば極めて静かなエンジンですが、周囲が静まり返った深夜の車中泊では、車体全体に伝わる振動と排気音で確実に目が覚めてしまうほどの衝撃があります。真夏にエアコンを使用する場合は、途中でエンジンがかかることを想定して周囲に迷惑がかからない場所を選ぶか、標高が高く夜間に涼しくなる山間部のRVパークを選んで換気で過ごす工夫をおすすめします。

車中泊時にAC1500Wコンセントでどんな家電が使えますか?

消費電力の合計が1500W以内であれば、家庭で日常的に使っているほぼすべての電化製品を車内でそのまま使用することができます。今回の私の旅では、移動中の車載冷蔵庫の連続稼働と、車中泊時の家庭用電気ポットによる湯沸かしに大活躍しました。

車内で火気を使わずに安全にお湯を沸かして温かいお茶やカップ麺を楽しめるほか、冬場であれば家庭用の電気毛布や小型ファンヒーター、電子レンジやドライヤー、IH調理器なども稼働可能です。大容量の駆動用バッテリーから安定した純正弦波のAC100Vが供給されるため、一般的なポータブル電源を凌駕する極めて快適で安心な電化キャンプ環境を構築できます。

新型(現行型)ではなく中古のGG3Wを車中泊におすすめする理由は?

最大の理由は、車中泊において最も重要な後席フロアの完全フラット性にあります。日産エクストレイルと共通プラットフォームを採用した現行型は、先進機能や走行性能が素晴らしい一方で、ボディが大きくなったにもかかわらず後席を倒した際に荷室フロアが完全な水平にはならない構造になっているそうです。

睡眠時の身体への負担を減らすためには、床面が真っ平らであるかどうかが決定的な要素となります。また、中古車市場における車両価格の面でもGG3W型は非常にこなれており、コストパフォーマンスに優れています。現行型ほどの過剰な電子装備を求めず、実用的な給電機能と快適な就寝空間を最優先するのであれば、完成された熟成モデルであるGG3W型は現在もっとも賢く満足度の高い選択肢です。

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