30年落ちのユーノス ロードスター(NA6CE)を、1か月半あずけました。足回りを全部やり直し、クラッチを開け、エンジンマウントまで替えています。
🔴 この1回で 628,758円。その4か月前にも 162,349円を払っているので、整備だけで79万円です。車両価格の話は、ここには入っていません。
ご精算書が手元に残っているので、何にいくらかかったかを、そのまま出します。
車高調の交換費用とブッシュ交換の工賃|明細をそのまま出す
2023年6月15日のご精算書から、金額の大きい順に並べます。すべて税抜きの単価、合計は税込628,758円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| TEIN FLEX Z(車高調) | 135,300 |
| アーム脱着 22か所ブッシュ圧入(車高調と同時作業) | 68,200 |
| マツダ純正ブッシュ 22箇所 | 57,798 |
| 車高調 交換工賃 | 46,200 |
| クラッチOH 作業工賃 | 41,800 |
| アライメント 測定調整 | 33,000 |
| Fロアアーム 新品 左右 | 32,274 |
| エンジンマウント 交換工賃(2個) | 17,600 |
| タイロッドエンド ×2 | 15,080 |
| アクレ ブレーキパッド ライトスポーツ F | 14,300 |
| ロアボールジョイント ×2 | 14,024 |
| Moty’s M405(ミッションオイル)2L | 13,640 |
| クラッチカバー | 13,233 |
| AC 真空引きガスチャージ | 13,200 |
| クラッチディスク | 12,584 |
| エンジンオイル Moty’s M216 4L | 12,760 |
| スタビライザーリンク F 左右 | 12,506 |
| スタビライザーリンク R 左右 | 11,132 |
| エンジンマウント 部品 2個 | 9,646 |
| ラックブーツ 左右 | 9,432 |
| サスペンションアーム ペイント 6カ所 | 8,250 |
| ブレーキパッド 交換工賃 | 7,700 |
| ラックブーツ 交換工賃 | 5,500 |
| レリーズベアリング/パイロットベアリング | 4,411/1,320 |
| クランクエンドシール + 交換工賃 | 3,228 + 2,200 |
| アッパーアームボールジョイント ダストブーツ ×2 | 2,948 |
| オイルエレメント交換(工賃込) | 2,750 |
| その他(ナット・割りピン等) | 2,144 |
🔴 目につくのは、部品より工賃の比率です。車高調そのものは135,300円ですが、付けるのに46,200円、ブッシュを打ち替えるのに68,200円、そのあとアライメントで33,000円。ここだけで147,400円です。
「車高調を買ったら、その半分くらいは作業に消える」と思っておくと、見積もりを見て驚かずに済みます。
TEIN FLEX Zとスタビライザーリンクの交換で、足はどう変わったか
入れたのは TEIN の FLEX Z、減衰力16段調整の車高調です。純正形状のショックではなく、車高も落とせるタイプを選びました。
選んだ理由は単純で、30年ものの純正ショックが、どういう状態か分からなかったからです。抜けているのか、まだ生きているのか。判断するより、替えたほうが早い。

🔴 そして、この緑がいい。機能とは何の関係もありませんが、ジャッキアップしたときや、ホイールの隙間から見えたときに、ここが緑だと嬉しい。足回りを社外品にする理由の何割かは、正直このへんにあると思います。
同時にスタビライザーリンクも前後とも交換しています。
- フロント 左右 11,890 + ナット 616 = 12,506
- リア 左右 9,284 + ボルト 792 + ナット 616 + ワッシャ 440 = 11,132
スタビライザーリンクは、スタビライザーとサスペンションを繋ぐ短い棒です。両端のボールジョイントにガタが出ると、段差でコトコト音が出ます。安い部品なので、足回りをばらすなら一緒に替えるところです。

🔴 ここが大事で、スタビライザーリンクの交換だけを単独で頼むと、また同じ場所をばらすことになります。2万3千円ほどの部品を、後から別作業で入れるのは、いかにももったいない。
車高調とブッシュとスタビリンクを一度にやったのは、そういう理由でした。足回りは、開けたときが替えどきです。

ボンネットを開けると、アッパーマウントの緑が見えます。普段は誰も見ないところですが、開けたときに毎回目に入ります。
ブッシュ交換の費用は、部品より「22か所ばらす手間」だった
フルブッシュ交換というのは、ゴムのブッシュを新品に打ち替える作業です。私の場合は22箇所でした。
- ロアアームブッシュ NA0134480A ×4 / NA01284DO ×2 / NA01284BO ×2
- ロアアームブッシュ NA0128460 ×4 / NA0134460 ×2
- アッパーアームブッシュ NA134490 ×2 / NA0128C0C ×6
部品代は22箇所で57,798円。1個あたりにすれば2,600円ほどです。ところがアーム脱着とブッシュ圧入の工賃が68,200円。部品より高い。

アームを車から外し、古いゴムを抜き、新しいものを圧入して、また組む。それを22箇所。しかもこの精算書には「車高調と同時作業金額」と書かれています。別々に頼めば、もっと高くなっていたということです。
ついでにアームは塗り直してもらいました(6カ所で8,250円)。ここは完全に自己満足の領域ですが、外して裸になっている状態でしか塗れません。「ばらしているうちにやる」が、旧車ではいちばん安く付きます。
エンジンマウントの交換費用と、外した現物
エンジンマウントは、エンジンを車体に載せているゴムの部品です。ここがへたると、振動がそのまま室内に入ってきます。
費用は部品2個で9,646円、交換工賃が17,600円。ここでも工賃のほうが高い。エンジンを持ち上げないと替えられないからです。

外した現物です。ゴムの角が割れて、全体に痩せています。30年、エンジンの重さと振動を受け続けた結果がこれでした。
🔴 こういう部品は、壊れて止まるわけではありません。少しずつへたって、少しずつ振動が増える。乗っている本人は、その変化に慣れてしまいます。だから「替えて初めて、悪かったことに気づく」ことになります。
クラッチ交換の費用は、部品より開ける手間
クラッチのオーバーホールもお願いしました。踏み込んだときに滑る感覚があったからです。
- クラッチディスク 12,584 / クラッチカバー 13,233
- レリーズベアリング 4,411 / パイロットベアリング 1,320
- ボルト・ワッシャ類 3,498
- 🔴 クラッチOH 作業工賃 41,800
- ついでに クランクエンドシール 3,228 + 交換工賃 2,200
部品は全部で35,000円ほど。工賃が41,800円。クラッチはミッションを降ろさないと触れないので、開けること自体が仕事になります。
だから「開けたついでに、周りも替える」のが定石です。クランクエンドシールを一緒にやったのはそのためで、単独で頼めば、また同じだけ開ける手間がかかります。

ブレーキも同じ考え方で、フロントにアクレのパッド(14,300円+工賃7,700円)を入れました。リアのローターは、その4か月前にディクセルへ替えています(11,800円+工賃10,000円)。
🔴 エアコンは、この時点で「いつまで冷えるか分からない」と言われていた
この入院で、エアコンのガスも入れ直してもらいました(真空引きガスチャージ 13,200円)。
そのときの店からの連絡が、いま読み返すと的確でした。
ガスを入れる前は吹き出し口の温度は23℃前後でしたがガスを入れたあとは13℃〜14℃台迄下がりました。本来調子のいいエアコンなら吹き出しで10℃前後迄下がるのでコンプレッサーが弱っていたり配管内のゴミなどが留まっていたりエバポレーター、コンデンサー等の目詰まりで効率が落ちているかも知れません。又ガス漏れのおそれもある為いつまで冷えが持つかわかりません。旧いロードスターのエアコンではガスを入れても数日でガスが抜ける場合もありますのでご了承下さいませ。
23℃が13〜14℃には下がった。ただし本来は10℃前後まで下がるはずで、そこには届いていない。だから、どこかに問題が残っている可能性が高い。そう言われていました。
🔴 この見立ては、2週間後に当たります。別の場所で診てもらったところ、エバポレーターのあたりから盛大にガス漏れ、コンプレッサーからも少しずつ漏れていると分かりました。
「ガスを入れれば冷える」は、旧車では半分しか正しくありません。入れれば一時的に冷えます。けれど、抜けている場所を直さない限り、また抜けます。あのとき数字で説明してもらったおかげで、次の判断が早くできました。
プロは、固着したボルトをタップとダイスで直す
もう一つ、印象に残った連絡があります。
ブレーキパッド交換 エンジンマウントの交換完了しております。エキマニのボルトナットは熱害で締まりにくくなっていたのでタップとダイスで修整しております。
エキマニ(排気マニホールド)のボルトは、熱で焼けてネジ山が痛みます。それをタップとダイスでネジ山を切り直して直した、という報告です。
🔴 私は同じ年に、自分で固着したボルトをドリルで壊しています。ECUのカバーを外すためでした。工具を買うのを渋って、半日を使って、ボルトを削り落とした。
同じ「回らないボルト」に対して、プロは直し、素人は壊す。この差は、腕というより道具と、その道具を持っている理由だと思いました。タップとダイスがあれば直せる。無ければ壊すしかない。
1か月半あずけて、戻ってきた車
入庫から帰ってくるまで、1か月以上かかりました。部品が揃わない期間があったからです。

戻ってきた車は、まったく別の乗り物になっていました。段差の入力が丸くなり、ハンドルを切ったときの反応が素直になり、車体が一枚板のように動く。それまで「こういう車なのだろう」と思っていた挙動の多くが、単にゴムが死んでいただけだったと分かりました。
その直後に往復300kmの遠出をして、問題なく帰ってきています。買ってから7か月、ようやく普通に走る車になりました。
旧車の維持費は「部品代」ではなく「工賃」で決まる
2枚の精算書を並べて、はっきりしたことがあります。
- 🔴 部品より工賃が高い項目が、いくつもある。ブッシュ(部品57,798/工賃68,200)、エンジンマウント(部品9,646/工賃17,600)、クラッチ(部品35,000ほど/工賃41,800)
- だから「ばらしているうちに、まとめてやる」が正解になる。同じ場所を2回開けたら、工賃を2回払う
- 旧車の部品は、意外と出る。ブッシュもアームもボールジョイントも、マツダ純正の新品が手に入った。出ないものもある(エアフロメーターは生産中止でした)
費用を抑えたいなら、値切るのではなく「開ける回数を減らす」ことです。これは自分でやる場合も同じで、私がECUのボルトに半日を費やしたのも、結局は同じ話でした。
🔴 ここまでやって、その半年後に手放した
最後に、正直なところを書いておきます。
この車は、この作業の半年後に手放しました。
その途中に、こんなことがありました。
足回りが仕上がった2か月後、私は TEIN の EDFC5 を買っています。運転席から減衰力を電動で変えられる装置です。せっかく16段調整の車高調を入れたのだから、走りながら変えられたら面白い。そう思って注文しました。
- EDFC5 減衰力コントローラキット&モーターキット M12-M12 80,888円
- EDFC ACTIVE GPSキット 7,623円
- 送料 1,650円 / クーポン −5,000円
- 🔴 合計 85,161円(2023年8月24日)
箱を開けて、モーターと配線とコントローラーと説明書を並べて、そこで止まりました。当時の投稿にも「DIYで付けれるか、ちょっと不安ですが」と書いています。
🔴 そして、その1か月後に出品しています。
- 2023年8月24日 購入(85,161円)
- 2023年9月22日 1円スタートでヤフオクに出品
- 2023年9月29日 落札。入札86件、83,000円
一度も車に付けないまま、新品で売りました。買って1か月です。手数料を引けば手取りは減りますが、金額としてはほぼ買値で戻ってきました。1円から始めて86件の入札が付いたので、欲しい人はちゃんといたということです。
付けられなかったわけではないと思います。付ける気が、なくなったのだと思います。
🔴 出品した8日後、私は名古屋へ、次の車を見に行っています。
62万円をかけて足を作り直し、2か月後に8万5千円の装置を買い、1か月後にそれを箱のまま売り、その8日後には別の車を見に行っていた。日付を並べると、自分でも驚きます。あのとき熱が下がっていく最中だったことは、当時はまるで自覚がありませんでした。
足回りを全部やり直し、クラッチを開け、エンジンマウントを替え、幌を載せ替え、ナビを付け、内装を直し、エアコンを直した車です。ようやく普通に走るようになった、その状態で売りました。
もったいない、と言われれば、そのとおりです。ただ、手を入れた金額が、そのまま売値に乗ることはありません。買取店の査定では、なおさらです。
それでも、この79万円を後悔していないのは、その1年で分かったことが、金額ぶんはあったからだと思います。30年前の車がどうなっていくのか、何が先に死ぬのか、どこにいくらかかるのか。払ってみないと分からないことでした。
これから旧車を買う方へ。車両価格と同じくらいの金額を、最初の1年で用意しておく。それが、この2枚の精算書から言える、いちばん実用的なことです。
